質量×速度

理科のような題名で始まりましたが、音楽の話です。

先日音の出し方について説明しましたが、やはり短い文章で語るのは難しかったです。今回はまた違った点から説明させて頂きます。前回の引き算の話と併せて、今回は質量×速度について説明します。


【質量×速度】

ピアノで大きい音を出そうとして、無理に身体に力を入れていないでしょうか?

身体に力を入れても自分の体重は変わりません。またピアノに覆いかぶさるようにして弾いても、ピアノにかかる質量の変化は微々たるものです。そこで音量の調節に大事なのはより変化させることのできる速度、つまりは打鍵するスピードということになってきます。

重い鉄の塊を鍵盤に乗せても、それを5分くらいかけて降ろすとなると全く音は鳴らないでしょう。また、譜読みの際に消しゴムや鉛筆を鍵盤上に落とした事はありませんか?その時は落下のスピードが加わるので意外と音が鳴る時があります。


音量を調節する時には、この打鍵スピードにじゅうぶん注意して弾いてみて下さい。ちなみに今回も音色の出し方に関しては省いています。このことに関しては本当に奥が深く、とても短い文章では表せないために省略していますが、音楽の真髄はここにあります。前回、今回とも音の出し方の原理を説明したまでですので、これを基に工夫し、色々な音色が出せるように試してもらえたらと思います。原理の先には自由しかありません。芸術に正解はない、これは逆に言うとどのような可能性もあるということです。