音楽にとっての「呼吸」

音楽にとって一番大事なもの、それは間違いなく呼吸だと思います。

ですが、演奏している最中に忘れがちなことも、この呼吸なのではないでしょうか。最近ではマスクをつけて弾く機会も多くなり、なおさらのことだと思います。


特に演奏を開始する始めの呼吸。大変忘れがちな部分ですが、どのように弾きたいか、どのような音を出したいかという明確なビジョンがあれば必ず呼吸はするはずです。

音楽は言葉だといいますが、言葉でも誰かを褒める声、怒鳴る声、慰める声では声の強弱や高さが全然違います。リズムや声色だって違ってきます。そしてそれらを発する際には、その言葉を発するための呼吸をしているのです。もちろん普段は意識していませんが、それぞれに違った呼吸があるのです。


よくピアノの先生が、「もっと呼吸をして」、「そこブレスを入れて」と言うことがあると思いますが、音楽も言葉だと思って、そこをどういうふうに弾きたいのかを考えてみましょう。とりあえず息を吸ってみる、という作業から、自ずと自然に呼吸ができるようになるはずですよ。


最後に、赤ちゃんが産まれてきた時に最初にすることは何でしょうか?

よく赤ちゃんの最初の行動は産声をあげることだと言いますが、正確には「オギャーー!」と叫ぶために呼吸をすることなのです。その呼吸は、赤ちゃんにとって生きていくためのとても大事な行動になるでしょう。

これから何か曲を弾く際、私達が産まれて初めてした行動を思い出し、そしてその曲をどのようなビジョンで演奏したいかを念頭に置くことができれば、きっとその曲は息の吹き込まれた素晴らしい作品になると思います。