練習する前に(補足)

これまで2回にわたり、まず練習する前のマインド(意識)についてお話しました。


できるだけわかりやすくと思いましたが、色々省略するところが多く、伝わりにくかったかもしれません。

そこで、最後に補足として、ネイガウスの言葉を載せておきます。最終的には素晴らしい教師の言葉が一番の助けになってくれると思います(私もそうでした)。


ちなみにゲンリヒ・ネイガウスはロシア人のピアニストで、モスクワに留学した我々にとってはもはや伝説の名教師です。


「(前略)〜ピアニストは最高の結果を達成するために練習するのですが、ズルズルと長引かせてではなく、短期間に達成へと手をのばすのです。ある女子学生との会話で、彼女が集中して練習しないために時間をいかに無駄についやしているかを知ったことがあります。

私はその時、次のようなありきたりな喩えを思いつきました。

考えてもごらんなさい!君が今鍋でお湯をわかそうとしています。まず鍋を火にかけなければなりません。そうしたらお湯が沸騰するまで鍋をおろしてはいけません。ところが君は、温度が40度か50度になったら、そこで火を消してしまい、何か他のことをやっています。そして再び鍋のことを思い出します。その間にお湯はすっかり冷えてしまい、また最初からやりなおしです。そんなふうにして、そのくり返しをうんざりするまで続けるのです。君はお湯が一度で沸騰するようにするために、必要な時間を一気に使おうとしないのです。こうしてたくさんの時間を失い、その上、君の練習への意欲までも低下させているのです。」