ピアニスト紹介の第3回は、私の好きなピアニストである、キース・ジャレットです。(注:あまりに好きなピアニストなので大変長くなります。片手間に読んで下さい)
【キース・ジャレット】
彼は、ジャズピアニストなのですが、クラシック音楽も弾き、またクラシック音楽を勉強する我々にとって大変勉強になる演奏を聴かせてくれます。
まず、私は彼ほど音楽に没頭しながら演奏するピアニストを他に知りません。
演奏中は、見た目も気にせず体を動かし立ち上がり、時にうなり声も上げたりと、ステージ上はなかなかカオスな光景です。ですが、全ては音楽に集中しているからこそ、音楽によってそれらの行動が受動的に出てくるのです。
キース・ジャレットの音楽の特徴は、「芯のある音」と「見事に歌いあげるフレージング」でしょう。
彼の音には人の心にうったえかける力があり、歌いまわしは自由でありながら、とても自然なのです。即興であるのに、まるで最初の1音から最後の1音までの流れが決まっていたかのように。
キース・ジャレットのフレーズの作り方はとても勉強になるので、いつも参考にさせてもらっています。
何より彼からは、音楽を楽しむということを一番学びました。私は本番前、緊張やプレッシャーからメンタルが弱まっている時がよくあるのですが、そんな時に彼の演奏映像を見ると、「何を緊張しているんだ。ただ音楽を楽しめばいいじゃないか。」という気持ちにさせてくれます。
音楽をやっていて良かった、ピアノを弾いてきて良かった、と思えるピアニストです。
【キース・ジャレットのおすすめ作品】
最初に紹介する作品は、「The Melody At Night, With You」です。とにかくこれだけは必聴です。私が今までもこれからも、生涯で一番聴くアルバムでしょう。キース・ジャレットが色々な曲をピアノソロ編曲で奏でる至極の10作品。すべての曲が美しく、甘く、愛に溢れたアルバムです。
また、この作品ができた背景もとても感動的なので改めてご紹介します。
次に紹介するのは、バッハの「ゴルトベルク変奏曲」。1989年、日本の八ヶ岳高原音楽堂で行われたリサイタルのライヴ録音になります。使われた楽器はピアノではなくチェンバロで、ライヴ録音とは思えないクオリティの高い録音としても定評があります。
また、チェンバロでのバッハ作品はこの他にも「平均律第2巻」、「フランス組曲」などがあり、こちらもおすすめです。
さらにもうひとつ、バッハの「平均律第1巻」もご紹介します。こちらはピアノでの演奏で、なんとスタジオ録音版とライヴ録音版の2つが存在し、聴き比べもできる面白さがあります。どちらも最高ですが、やはりライヴならではのグルーヴ感を感じるライヴ版の方がよく聴きますね。(まずコンサートで平均律1巻全24曲を弾こうというのが考えられないくらいすごい!!笑)
最も影響を受けた作曲家はバッハだと語るキース・ジャレットは次のように語りました。
「バッハを弾く時、五線に書かれた演奏記号、音符の動きは本質的に豊かな表現力を有しているので、そこから思考の過程が聞こえてきます。どんな着色もこのプロセスには不要なものです」。
彼は、演奏者はあくまで聴き手と作曲者の橋渡しだ、というのをよく理解していたような言葉ですね。
この他に、ヘンデルの「クラヴィーア組曲」や、ショスタコーヴィチの「24の前奏曲とフーガ」などもよく聴くアルバムです。
クラシック音楽寄りにご紹介してきましたが、この何十倍ものジャズの作品を残しているとは、ただ者ではないです。。
◆キース・ジャレット/ The Melody At Night, With You
◆バッハ/ ゴルトベルク変奏曲
◆バッハ/ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻
またその他にYou Tube映像ですが、「I Loves You Porgy」は、私がいつも本番前に見るルーティーンになっています。
またまたピアニスト紹介シリーズ長くなってしまいましたが、音楽の楽しさや素晴らしさを、キース・ジャレットの音楽から感じてもらえると嬉しいです。