コロナ禍で学生に対して思うこと

コロナ禍の生活が丸2年続き、最近心配なことがあります。

それは、学生が目標を見つけるのが難しくなっているのではないかということ。


現在高校2年生は、入学した時から大変でした。最初の半年間はリモートでのレッスン、また学校で授業が始まっても50分しっかりとレッスンができた日は半分もなかったと思います。(先月に関しては、2回のレッスンが流れ、残り2回は短縮授業です)


これだけでも学生達にとってはとてもかわいそうなことだと感じています。

しかし、最近になって私が最も心配していることは、学生達が目標を失ってしまわないかということです。

私の勤務している音楽高校では、1年に2回の実技試験があるのですが、この2年、コロナのせいで半分以上が延期、変更となりました。(試験での演奏時間も短縮授業になるため当初より短くなる)


そして、その知らせはだいたい試験の2~3週間前に届きます。

私の経験上、試験(本番)の2~3週間前はとても重要な期間で、間に合わせようと必死になって練習に没頭する期間になります。たとえ間に合わなくても、暗譜ができていなくても、試験当日まで諦めずに集中して練習する。その大切な時間が、目標が先延ばしされた瞬間からなくなってしまいます。しかも先延ばしされた試験で弾くのは、想定していた時間よりも短くなるので、学生達の心理としては「必死にやる必要はなくなった」となるでしょう。

更には、「次の試験もたぶん延期、演奏時間短縮だな」と思いながら練習してしまう悪循環まで生まれてしまいます。


学校や先生達が、必死にピアノに打ち込む環境を作ってあげないといけないのに、この2年間それがなかなかできずに大変もどかしい気持ちでいっぱいです。


このような厳しい状況の中でも、学生達には目標を見失わずに頑張って欲しいと切に願います。

先日、ある生徒がレッスンで最初にまず1曲通す時、録音して良いかたずねてきました。試験がなくなり、毎週のレッスンを少しでも本番にしようという気持ちだったのでしょう。このような状況でも自ら考えて行ったその行動は、大変素晴らしいものでした。と同時に、私が学生の頃は本当にまわりの環境に助けられていたんだなとつくづく感じました。


学生達にはこの状況を、是非「ピンチをチャンスに!」の精神で乗り切ってもらいたいものです。