天才女流作曲家

本日8/21は、天才女流作曲家、リリ・ブーランジェの誕生日です。


あまり知られていない作曲家ですが、フォーレ、ドビュッシー、ラヴェルと同時代を生きました。特にフォーレとは親交が深く、ブーランジェにとって父親のような存在でした。


「ローマ大賞」という作曲家にとって大変権威のある賞を女性で初めて受賞した作曲家。あと20年長く生きていたなら、先程の3人の作曲家と肩を並べていたでしょう。


リリ・ブーランジェは生まれつき臓器に障害があり、25歳の若さでこの世を去りました。

医師からは短命を予告されていたため、常に死を意識しての生活だったでしょう。

しかし、あまりに美しい彼女の音楽には不思議な安らぎを感じます。せまりくる死の影に怯えず、その先を見ているような、、

きっと天国の永遠の「生」を見つめ、この世を生き抜いたのだと思います。


彼女はおそらくその自身の人生からか、声楽曲、歌曲を中心とした宗教曲をたくさん残しています。(敬虔なカトリック信仰を持っていました)



◆ファウストとエレーヌ


「ローマ大賞」受賞作品で、彼女の残した作品の中で一番の傑作でしょう。

ただし、演奏時間は約30分。ちょっとクラシック曲に慣れていないと最後まで聴くのは大変かもしれません。。

しかし、最初の10分だけでも聴いて欲しい。なぜなら審査員達は3分の1もまだ聴いていない時点で、すでに彼女の受賞を確信していたのですから。


ちなみに「ローマ大賞」はラヴェルが5回挑戦して1度も受賞できなかった賞です。そのくらいすごい賞をこの時代に女性が受賞することの大変さ。

まぁラヴェルの場合は受賞できなかった事が後にクレームというか、事件にまで発展しているので、これはこれですごいのですが、、



◆復活(Renouveau)


私がリリ・ブーランジェと最初に出会った作品です。

美しすぎる作品。。(いや、語彙力!笑)

私は基本フランスの作曲家は全体的にかなり好きなのですが、その中でももし自分が作曲するならこのような作品を作りたいと思わせる作品です。うん、おそらく自分が作曲する時は彼女の作曲技法を勉強することでしょう。

ただし、この曲の中間部はだいぶフォーレの影響を受けているように感じます。


いや〜なんだろう、この平穏さと透明感は。そこにずっと力強さが同居しているんです。

こういった作品は男性作曲家には書けないだろうな〜。



◆夜想曲


ヴァイオリンとピアノのための作品で、彼女の作品の中では比較的演奏される機会が多いです。

スコアを見るとそんなに複雑な事はしていないんです。メロディーもシンプルだし、和声だって他のフランス人作曲家の方が複雑だったりする。

でもたった3分の中でこれだけのものをうったえられる力は本当に見事だと思います。



上記3つの作品は全て彼女が10代の時の作品です。

病弱な身体のため音楽学校にも通えなかった彼女は、家に先生が訪問してくる個人レッスン等で作曲法を学びました。

おそらく同じ世代の仲間と遊んだり、時には恋をしたりという経験もあまりなかったことでしょう。

それでも彼女の作品を聴くと、彼女の中にある想像力はどれほどのものだったのかと考えさせられます。


少し長くなってしまいましたが、本日はひとりの天才女流作曲家の紹介でした。